歩いて楽しむロサンゼルス 第1回:アート・ディストリクト

昨年春、ロサンゼルス・メトロのエキスポ・ラインがサンタモニカまで開通したことにより、車なしで楽しめるL.A.周辺のエリアが大きく拡大した。ロサンゼルス国際空港(LAX)内を走る無料シャトルバスのGパーキングにも駅があるので、ダウンタウンやハリウッドもLAXからこのメトロでアクセス可能だ。現在開通しているメトロ・ライン6路線、これにリンクしているメトロ・バスを使うと結構なエリアを網羅していて、車いらずのロサンゼルスの旅が楽しめるようになったのだ。
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第1回はダウンタウンの「リトル東京/アーツ・ディストリクト」駅周辺を紹介しよう。駅はリトル東京の南側を走るアラメダ・ストリートにあるMOCA(ロサンゼルス近代美術館)が運営する有名な「ゲフィン博物館」の正面に位置している。ここから1st.ストリート方向に歩き、トラクション・アベニューを左折するとすぐにアーツ・ディストリクツの中心(写真上)に到着します。駅から徒歩でおよそ10分の距離である。
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この周辺には人気店が集中していて、多種多様な本場ドイツの生ソーセージを選んで、ビールとともに最高のホットドッグが楽しめる「ワースクーカー」、和のダシを巧みに取り込んで大人気となった「ウマミバーガー」など、ワンランク上のファストフード店が並んでいる。
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トラクション・アベニューにある「エンジェル・シティ・ブリュワリー」もアーツ・ディストリクトの人気スポット。滋味にあふれたラガーやIPAなどの定番から、様々なフレイバーのオリジナル・ブリューまで、冒険心いっぱいのビールが楽しめる。
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アーツ・ディストリクトの盛り上がりのきっかけとなったのは、今やL.A.を代表するオーガニック・コーヒーとなった「アース・カフェ」のダウンタウンL.A.・カフェである。2008年、まだ寂れた古い工場や倉庫ばかりが建ち並ぶ再開発前のこのエリアにいち早く目をつけたのがアース・カフェだ。20年ほど前まで、このエリアの治安はお世辞にも良いとはいえず、ましてや旅行者などが足を踏み入れる場所ではなかった。しかしアース・カフェの成功後は再開発に拍車がかかり、LAローカル・ブランドのショップやレストラン・クオリティのファストフード店舗などが続々とオープンした。古い建造物は可能な限り残し、最小限のリニューアルでお洒落な空間を演出する。そこに大きな役割を担ったのが、このエリアを彩る個性的なアートの数々である。
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再開発前の寂れた倉庫街だった時代、このエリアは家賃も安く、空いた倉庫に住み着いたのは広いアトリエを必要としたアーティストたちだった。より良い住環境を得るためにアーティストたちは内外装に個性あふれるペインティングなどを施し、街全体をアーティスティックに彩っていった。その後再開発が加速すると、単なる落書きも”アート”として機能するようになり、それらを効果的に利用したお洒落れな店舗が次々と生まれ、現在のアーツ・ディストリクトのイメージが定着していったのだ。
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「リトル東京/アーツ・ディストリクト」駅のあるアラメダ・ストリートを南方向に2ndストリートからパルメット・ストリート、東方向にサンタ・フェ・アベニューに囲まれたエリアが賑わいの中心で、半日もあればゆっくり徒歩で食事やショッピングが満喫できる。アーツ・ディストリクト散策の最後は、1925年に建設されたナビスコ(National Biscuit Company)・ビルディングの1階にあるフレンチ・ビストロ『チャーチ&ステイト』で早めのディナーがお勧めだ。ファーム・トゥ・テーブルのオーガニックな食材が生み出す美味とともに選りすぐりのワインやクラフトビールを楽しもう。
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執筆日:2017年4月

桑田英彦 (くわた・ひでひこ)
ライター/フォトグラファー

音楽雑誌の編集者を経て渡米。1980 年代をアメリカで過ごす。帰国後は雑誌、機内誌や会員誌などの海外取材を中心にライター・カメラマンとして活動。アメリカ、カナダ、ニュージーランド、イタリア、ハンガリー、ウクライナなど、海外のワイナリーを数多く取材。著書に『ワインで旅するカリフォルニア』『ワインで旅するイタリア』『英国ロックを歩く』『ミシシッピ・ブルース・トレイル』(スペースシャワー・ブックス)、『ハワイアン・ミュージックの歩き方』(ダイヤモンド社)、『アメリカン・ミュージック・トレイル』(シンコーミュージック)等。雑誌『サファリ』にてカリフォルニアのホテルのコラムを連載中。